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NYの視点:ロシアの切り札

2014/8/7 7:02 FISCO
*07:06JST NYの視点:ロシアの切り札 NATO(北大西洋条約機構)はロシアがウクライナ東部に集結させている2万人の軍隊を平和維持軍としてウクライナに侵攻させる可能性を警告した。NATOは声明を発表し、国境付近のロシア軍の増強は危険な状況が一段と深刻化したことを示すと懸念を表明。 シコルスキ・ポーランド外務大臣もウクライナ東部ドネツク州やルハンスク州国境付近で増強しているロシア軍がウクライナ侵略または圧力をかける体制にあるとTVインタビューで語った。これに続き、ヘーゲル米国防長官もロシア軍がウクライナを侵攻する可能性を指摘したほか、「ロシアによるウクライナ侵攻の脅威は現実」と警告した。 一方、ロシアはNATOや米国が国境付近の軍隊増強を指摘したことを「根拠がない」として否定。マレーシア航空機撃墜を受けて欧米が対ロ制裁を強化した報復として、プーチン露大統領は、対ロシア制裁を実施している諸国からの食品、農業製品の輸入を1年間禁止・制限する制裁策に署名した。ロシアは報復制裁に加えてイランとの貿易を拡大する方針に180度転換した。イラン核問題の協議を進めている「核開発を許さない」6か国のひとつ(米国、英国、フランス、ドイツ、ロシア、中国)であるロシアは方針を翻し原油の貿易においてイランと協力する方針を発表。 西側諸国は核開発を停止させるためにイランに対しても2年前から厳しい制裁を遂行中。西側諸国の制裁によりイランの原油輸出は最大で1日当たり250万バレル減少したと言われている。ロシアとの取引が可能になると著しく減少した分を相殺することが可能だという。西側諸国の厳しい制裁を機にロシアや中国が態度を翻しイランとの距離を縮めた場合、イランが核開発に成功することも否定できない。これは最大の脅威となる。欧米がこの動きを食い止められるかどうかが鍵となる。 新興5カ国(BRICS=ブラジル、ロシア、インド、中国、南アフリカ共和国)首脳は7月15日に開かれたBRICS首脳会議において独自の開発金融機関「新開発銀行」の設立と外貨準備基金の創設を決定した。アメリカ主導の国際金融秩序に対抗し、発展途上国や新興国へのインフラ開発を支援する新開発銀行の設置は、世界銀行や国際通貨基金(IMF)が主導する国際金融の枠組みである第2次大戦後の「ブレトンウッズ体制」への挑戦を意味すると見られている。ロシアが主要8カ国(G8)から排除されて欧米の経済制裁を受ける原因となったウクライナ危機に関し、共同宣言は「深い懸念」を表明。別条項で「一方的な軍事行動や経済制裁を非難」することで、間接的にロシアを支持したと報じられている。 「西側諸国打倒」の野心を持つ国々が結束を固めつつある。真の勝者はプーチン露大統領なのかもしれない。 《KO》