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米国株式市場見通し:雇用統計など経済指標が焦点、原油安の影響を注視

2015/3/1 5:12 FISCO
*05:16JST 米国株式市場見通し:雇用統計など経済指標が焦点、原油安の影響を注視 週初は、原油在庫統計が市場予想を上回る在庫水準であったことや、米国内の大手製油所でのストライキを受けた過剰在庫長期化への懸念で原油価格が一段安となり、エネルギー株を中心に軟調推移となった。その後、欧州連合(EU)がギリシャの改革案を承認し、金融支援延長の手続きに入ったことが好感されたほか、サウジアラビアのヌアイミ石油相が、原油の世界需要が拡大しつつあるとの見解を示し、上昇に転じた。イエレンFRB議長の議会証言では利上げを急がない姿勢が示されたものの、具体的な利上げのタイミングについての示唆はなく、反応はまちまち。週末にかけては2月シカゴ購買部協会景気指数や1月中古住宅販売仮契約が相次ぎ予想を下回るなど、軟調な経済指標が嫌気され軟調推移となった。結局、週を通じて主要株式指数は上昇。ダウ及びS&P500指数は過去最高値を更新、ナスダックは節目となる5000ポイント目前に迫っている。 原油相場の下落で、エクソン・モービルやシェブロンなどエネルギー関連企業が軟調推移となった。航空機メーカーのボーイングはアナリストによる投資判断引き下げを受けて下落。投資銀行のゴールドマン・サックスは当局への提出書類 で、法務費用の見通し上限を約30億円に引き上げたことが嫌気され、売られた。カジノホテル運営のウィン・リゾートはマカオ政府が中国本土からの観光客制限の検討を表明したことが嫌気され、軟調推移。一方で、資源のフリーポート・マクモランは原油や銅資産の売却計画を撤回し、買われた。革製品メーカーのコーチは一部アナリストによる投資判断引き上げを受けて、堅調推移。ディスカウントストアのダラー・ツリーは決算内容が好感され上昇した。 今週は月初となることから、多数の経済指標の発表が控えている。1月個人所得・個人支出(2日)、2月ISM製造業(2日)・非製造業(4日)景況指数、2月ADP雇用報告(4日)、2月雇用統計(6日)、1月貿易収支(6日)などが予定されている。原油安の影響もあり最近発表された一部経済指標が予想を下振れており、これらの経済指標の落ち込みが一時的なものかどうか慎重に見極める必要がある。 雇用統計は、失業率が5.6%と0.1%の改善、非農業部門雇用者数は前月比24万人増が予想されている。雇用市場の改善を確信できる内容となれば、次回3月17-18日の連邦公開市場委員会(FOMC)での声明文から「忍耐強く」との文言が削除される可能性が高まり、年後半の利上げ開始が意識されるだろう。4日にはFOMCでの基礎資料となる地区連銀経済報告(ベージュブック)の発表も予定されている。 個別企業では5日に倉庫型卸売のコストコ・ホールセール(COST)の決算発表が予定されている。1月小売売上高が2ヶ月連続の減少となったことから、小売業の決算には警戒感が広がっていたが、ターゲットやダラー・ツリー、ロウズなど小売各社の決算では力強い売上の伸びが示されており、雇用市場の改善やガソリン価格の低下が好調な年末商戦の成果につながった様子がうかがえる。一部の小売業者の間には、賃上げや設備投資の拡大など既存経営の見直しを進める動きも散見される。コストコは会費制でビジネスモデルが一般的な小売企業とはやや異なるものの、堅調な決算内容が期待できそうだ。 連邦通信委員会(FCC)は、インターネット上の情報を平等に扱う「ネット中立性」に関する規制案を承認した。AT&T やベライゾン・コミュニケーションズ、コムキャストといった通信会社やケーブルテレビ事業主などに対し、ウェブ上の情報を不当に阻害したり、通信速度を制限することを禁じ、追加料金を支払った顧客を優遇することも禁止するといった内容である。通信会社やケーブルテレビ事業者は動画ストリーミングなどデータ通信量の急増を受け設備投資の負担が増大しており、議会と裁判所の両方で争う方針を固めている。このネット中立性問題の先行きは不透明であるが、もしも規制案が覆った場合、ネットフリックスやグーグルなどの動画ストリーミングサービスの通信速度が制限されたり、通信会社がブロードバンド通信の値上げに踏み切ったり、独自のストリーミングサービスを開始することも考えられ、通信サービス業界の株価変動要因となりうる。 (Horiko Capital Management LLC) 《TN》