2022/3/4
1stコーポ Research Memo(8):配当性向30%以上
*15:18JST 1stコーポ Research Memo(8):配当性向30%以上
■株主還元
ファーストコーポレーション<1430>の配当金は2020年5月期が年20円、2021年5月期は普通配年28円に創業10周年の記念配当10円を加えて年38円となった。
中期経営計画では2022年5月期に年30円、2023年5月期に年34円、2024年5月期に年40円を目標値として掲げている。同社は内部留保の状況を勘案したうえで配当性向30%以上を安定して達成することを目指しているほか、機動的な自己株式の取得により株主還元に務めるとしている。このことから、内部留保の状況などによっては、配当性向のアップが見込まれると弊社は考えている。
また2016年11月30日より株主優待制度を開始している。保有株式数と保有期間に応じてQUOカードを進呈している。
さらに、自己株式の取得を実施しており、2021年4月20日までに100万株を取得したほか、2022年2月16日には23.5万株を取得している。
■サイバーセキュリティについて
同社はマンション関連ビジネスと言っても、一般のデベロッパーなどとは異なり、BtoBのビジネスがメインであるため、顧客名簿が多い訳ではないが、ネットワーク上のセキュリティに関するルールを決め、管理を徹底している。例えば、パスワード管理によるアクセス制限等で情報漏洩策を強化している。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 清水陽一郎)
《ST》
2022/3/4
1stコーポ Research Memo(7):ZENAS工法の開発で受注拡大とコスト削減を目指す
*15:17JST 1stコーポ Research Memo(7):ZENAS工法の開発で受注拡大とコスト削減を目指す
■ファーストコーポレーション<1430>の中期的な展望
1. ZENAS工法
中期的に大きなトピックスとして注目されるのが、東京理科大学発ベンチャーと共同研究を進め、このほど開発したZENAS工法だ。
これは、12m以上のワイドスパンを実現する新免震工法である。従来の一般的なマンションのワイドスパンは7m以上となっているが、大スパンを実現させたことによって、今までになかった間取りが可能となる。換気効率が上昇するほか、柱や壁に遮られることのない戸建て建築のような大空間を実現させることができるようになった。
さらには、建設する際に柱の本数が減少することで、コンクリート型枠使用量、型枠合板使用量、作業員数などを削減できる。このように現場負荷を軽減し、コストマネジメントに優れた工法と言える。コストを抑制することができれば利益率の向上、または価格競争力の獲得につながることが期待でき、今後同社にとって大きな武器になることは間違いないと弊社は考えている。
また、ユーザーにとっても自由設計が行いやすくなるというメリットがある。現在、この工法を活用した受注活動を進めているが、2023年5月期あたりには第1号案件を手掛けることになりそうだ。購入者のニーズに沿う物件が提供できる工法とあって、今後の同社の受注において強いツールとなることは想像に難くない。
また、同社が主要事業エリアとしている1都3県(東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県)の分譲マンション建設市場は、全国的に人口が減少するなかにあって、増加傾向をたどっているほか、同社のこの地域でのシェアは直近で1.79%であり、なお市場開拓の余地が広いと言えそうだ。
当面の事業環境について展望すると、大手ゼネコンは、大型都市再開発事業や公共工事などで手持ち工事が豊富となっており、マンション建設請負に消極的な状況だ。
一般的に建設業界においては、全体的に工事量が減少すると、大手といえども中小規模の案件に手を伸ばすほか、採算を度外視するような形で受注を獲得する業者も出現するなど収益環境は一気に悪化する。工事量が多い現在のところは、そうした厳しい状況を心配する必要はないようだ。
九州支店でもビジネスが本格化
2. M&Aを念頭に置いた事業展開
建設業界における足元のマイナス要因の1つは慢性的な人手不足である。状況によっては、営業費用の増加につながる要因として、人件費の高騰が収益を圧迫する可能性もある。
同社は、その解消策としてM&Aを念頭に置く。人材育成には時間を要するため、現状では規模に応じた受注を心掛けているものの、必要に応じてM&Aによる陣容増強に踏み切る。M&Aについてはコストパフォーマンスに留意し、慎重に行っていくとしている。さらに、新たな事業領域を広げるためにM&Aを活用する考えだ。
一方、将来の成長性を考えたうえで重要なポイントとなるのがエリアの拡大で、注目すべきは九州支店だ。同支店については、2018年4月にオープンした後、投資の状態が続いていたものの、直近では博多区においてオフィスビルを手掛けた。この案件は2022年4月に売却を予定しており、今後の足掛かりを作った。
福岡のマンション市況は、アジアへの玄関口であるこの地域の人口が2038年まで増加が見込まれていることから、将来的なビジネスの展開を踏まえても、ここに支店を開設した意味は大きい。
中期経営計画「Innovation2021」を策定
3. 中期経営計画について
このほど中期経営計画「Innovation2021」を策定したが、創業10年目の節目を越えたことで、将来的に「年商500億円企業」を目指すため、業容拡大と利益水準の向上に継続的に取り組むとともに、新たな価値の創出と持続的な成長を目指すことを基本方針として掲げている。
この計画では、前中期経営計画を継承し、重点施策として以下を挙げた。
1) 中核事業強化の継続
2) 再開発事業への注力
3) 事業領域拡大による新たな価値創出
4) 人材の確保・育成、働き方改革の推進
中核事業におけるポイントとなるのは、やはり造注方式の推進だ。造注方式は同社にとって成長の原動力となるため、コンスタントな用地確保がカギとなることは今後も変わりなく、建築事業の強化も図る。
再開発事業は前述したとおり、群馬県前橋市のプロジェクトに続き、横浜市緑区など新たなプロジェクトについての布石を打っているが、この拡充によって中長期的な収益基盤の確立を目指す。さらに、収益基盤を多様化するため、M&Aによる業容拡大や、周辺事業にも力を注ぐ考えだ。
「Innovation2021」の数値目標としては、2024年5月期に売上高30,000百万円、営業利益2,400百万円、経常利益2,350百万円、当期純利益1,595百万円、受注額21,000百万円を掲げている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 清水陽一郎)
《ST》
2022/3/4
1stコーポ Research Memo(6):収益基盤を多様化し、中期経営計画「Innovation2021」達成へ
*15:16JST 1stコーポ Research Memo(6):収益基盤を多様化し、中期経営計画「Innovation2021」達成へ
■今後の展開
1. ウェルビーイングシティ構想と分譲マンション自社ブランド「CANVAS」の推進
ファーストコーポレーション<1430>が注力していく領域として最初に取り上げたいのが「ウェルビーイングシティ構想」である。この構想に基づいた分譲マンション自社ブランド「CANVAS」を立ち上げ、現在、第1号案件のCANVAS南大沢を建設している最中だ。
「CANVAS」は人生100年時代に対応した、「住む」という目的だけにとどまらない、「豊かな暮らしを実現するための様々なサービスを提供し続けることで、持続的かつ多面的に満たされる暮らしを提供し、持続可能な社会の構築に貢献する」というコンセプトに基づいている。こうした物件は従来、高齢者のみを対象にしたシニアマンションなどが中心だったが、「CANVAS」では全世代を対象にしている点が最大の特徴となっている。コロナ禍の影響により、多様な働き方を実現したいと考える単身世帯、若い家族世帯など、様々なニーズが存在する現在において、外部の機関と連携しながらニーズを満たす多様なサービスを提供していく全世代型のマンションは、今後のマンション形態のメインストリームになる可能性が十分にあると弊社は考えている。
2. アクティブシニア向けマンション
将来的な成長を考えるうえで注目できるのが、健康な高齢者向けのマンション、いわゆるアクティブシニア向けのマンションだ。高齢者向けのマンションというと、多くの業者が介護付きのサ高住(サービス付き高齢者向け住宅)で展開しており、アクティブシニア向けを手掛ける業者は少ないが、同社はこの分野で先行している。
アクティブシニア向けは、そもそも通勤仕様ではないため、駅前立地でなくて良い。さらに、温泉やジムなど付帯設備の建設で単価がアップできるなど、利益面でも期待できる案件だ。東京都稲城市のプロジェクトも、アクティブシニア層を主要ターゲットとしたマンションとして共同事業で行った案件だ。
大型案件のなかには、デベロッパーと共同事業で行うケースもある。これまでもいくつか実績があるものの、今後もデベロッパーと組む案件が多くなっていくものと見られる。これらは収益の下支え効果をもたらしそうだ。
顧客となる取引先も増加した。2020年5月期は31社だったのが、2021年5月期には三菱地所レジデンス(株)、野村不動産(株)が加わり33社に増加している。このほか、具体的な取引先としては、(株)アーネストワン、東京建物<8804>、中央日本土地建物(株)、日鉄興和不動産(株)、三井不動産レジデンシャル(株)、阪急阪神不動産(株)、 (株)中央住宅といった大手の著名デベロッパーが多く名を連ねている。今後も取引先が拡大するとともに、ビジネスの幅も広がっていきそうだ。
再開発事業の開花によって収益は上昇基調に
3. 再開発事業
さらに同社は、再開発事業に注力している。この分野では現在、JR前橋駅北口地区第一種市街地再開発事業に事業施行者として参画している。ここでは、地上27階建の施設を建設するなど、同社にとって大きな案件だ。2020年に着工し、当面の収益源として貢献する。このプロジェクトで高層建築の実績を構築でき、今後のタワーマンションへの展開に強力な武器となることも見逃せない。このプロジェクトについては、2024年3月の工事完了を見込んでいる。
さらに、再開発に関しては、横浜市緑区においても大規模事業に参画、デベロッパーとジョイントで計画を具現化していく。そのほかにも、青森県弘前市でも既に用地を取得するとともに、準備組合に加盟するなど今後が楽しみな案件になりそうだ。将来的にこれらの再開発ビジネスが次々に開花すれば、同社の収益は上昇基調を確実なものにすると思われる。
コロナ禍における新しい生活様式へも対応
4. コロナ禍への対応
コロナ禍による新しい生活様式は、マンション販売動向にも影響を及ぼしている。マンション販売は、都心部の高価格帯物件と郊外のリーズナブルな物件の二極化が進んでいるが、昨今ではテレワーク化の推進によって、郊外の案件に住居ニーズが移りつつあるという。それに合わせ、同社も郊外の案件に目を向けて実際に商談を進めており、今後も注力していく考えだ。
コロナ禍にあっても同社は、主力のマンション建設に加え、自社ブランドの分譲マンション事業、アクティブシニア向けマンション事業、再開発事業を新たな軸に事業の拡大と中期経営計画「Innovation2021」の実現を目指す構えだ。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 清水陽一郎)
《ST》
2022/3/4
1stコーポ Research Memo(5):2022年5月期通期も増収増益と好調維持を見込む
*15:15JST 1stコーポ Research Memo(5):2022年5月期通期も増収増益と好調維持を見込む
■業績動向
1. 2022年5月期第2四半期の業績概要
ファーストコーポレーション<1430>の2022年5月期第2四半期は、売上高が前年同期比89.8%増の14,560百万円、営業利益が同221.2%増の806百万円、経常利益が同257.7%増の802百万円、四半期純利益が同278.9%増の560百万円と、大幅な増収増益を達成した。特に純利益の伸びが大きく、278.9%増と4倍弱に急伸していることは注目に値する。このことからも同社の造注方式を中心とした事業モデルが高い収益性を可能にしていることが窺えるだろう。第2四半期末までにマンション事業用地2件を売却したことによって不動産売上高が同21.9倍と急伸するなか、販管費率を7.8%から4.3%へと減少させるなど、コスト抑制努力が実を結び、大幅な増収増益を達成した格好だ。
2. 2022年5月期の業績見通し
受注については、受注額と件数がそれぞれ22,000百万円、7件と、2021年5月期よりも減少を見込むものの、利益率に関しては拡大が予想される。全受注金額のうち、15,000百万円が造注方式によるものであり、高い収益性が期待できるためだ。これにより2022年5月期の造注方式比率は前期比プラス32.4ポイントの68.2%に急伸することが見込まれている。
2022年5月期通期では、売上高が前期比26.7%増の26,500百万円、営業利益が同3.2%増の1,720百万円、経常利益が同5.7%増の1,700百万円、当期純利益が5.0%増の1,182百万円と、増収増益になることを見込んでいる。計画値に対するそれぞれの進捗率は、売上高が54.9%、営業利益が46.9%、経常利益が47.2%、当期純利益が47.4%となっている。通期の計画に対して、群馬県前橋市の再開発案件と、現在は解体中の千葉市中央区における大型案件の着工が予定されていることから、弊社では充分に達成可能であると考えている。
全体的に工事、不動産販売とも現時点で確実性の高いもので見通しを立てており、2022年5月期の予想については保守的と見られ、上振れの余地が大きいと弊社は考える。特に2022年5月期第4四半期に受注が予定されている2案件は、造注方式によるものとなっている。売上は工事進行基準で計上されることから、今後3年ほどは高い利益率が継続することに注目したい。
コロナ禍による影響が懸念されながらも、販売面は引き続き好調に推移しそうだ。特に、課題になっていた群馬県前橋市の再開発案件が2021年5月期から寄与し始め、これが2022年5月期、2023年5月期ともに安定した収益源として貢献する。利益面については、2021年5月期の不動産事業で想定以上の販売価格となったことを考慮すれば、売上高に比べて伸び率は小さいながらも、好調に推移すると弊社は考えている。
完成工事総利益は2021年5月期の1,257百万円から2022年5月期は1,695百万円と前期比34.8%増を見込んでいる。2021年5月期の増益は不動産事業に助けられたことが大きいが、2022年5月期は造注比率の上昇もあって、主力のマンション建設・販売で収益を拡大させることになりそうだ。
3. 財務状況
財務の健全性を示す自己資本比率は35.8%となっているものの、1年のうちに返済する必要のある負債に対する1年のうちに現金化される資産の割合を示した流動比率が230.4%と高水準であり、手元流動性には問題がない。利益剰余金の負債純資産合計に占める割合が32.9%と過去の利益がしっかりと積み上がってきていること、営業キャッシュ・フローが1,173百万円とプラスになっていることなどの理由から、財務状況に関しては特筆すべき問題はないと弊社は考えている。
その他の指標は、自己資本利益率(ROE)が8.8%、株価収益率(PER)は17.4倍などとなっている。今後は、アクティブシニア向けマンション、再開発事業、分譲マンション自社ブランドなど収益源の多様化を図るなかでROEが向上していくことが期待できると弊社は考えている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 清水陽一郎)
《ST》
2022/3/4
1stコーポ Research Memo(4):分譲マンション自社ブランド「CANVAS」が発足
*15:14JST 1stコーポ Research Memo(4):分譲マンション自社ブランド「CANVAS」が発足
■事業内容と沿革
3. 「ウェルビーイングシティ構想」に基づく分譲マンション自社ブランド「CANVAS」
2022年5月期第2四半期において、ファーストコーポレーション<1430>は新たに「ウェルビーイングシティ構想」というブランドコンセプトを掲げ、分譲マンション自社ブランド「CANVAS」を立ち上げた。「マンションという「住まい」を提供するだけでなく、住まう人々の豊かな暮らしを実現するための様々なサービスを提供し続けることで、持続的かつ多面的に満たされる暮らしを提供し、持続可能な社会の構築に貢献する」というミッションのもと、現在、東京都八王子市に第1号案件となるCANVAS南大沢の建設を進めている。
具体的には、「住・食・働・学・遊・健・看」をキーワードに、単身世帯、家族層から高齢者まで多様な年齢層やライフスタイルの消費者をターゲットに、毎日の生活の質を高めるサービスを提供してくことを目指している。例えば「働」というキーワードにおいては、「リモートワークのNEXTを見据えた、誰でも働ける仮想空間でのワーキング」サービスを提供していくことを将来的には目指している。また、「看」というキーワードでは、人生の最後を自宅で迎えることができるよう地域医療機関と連携し介護を提供する、「かかりつけ介護」などのサービスの提供を目指している。上記に挙げた例は、ほんの一例であり、実際に居住者が生活を始めてから様々なニーズを的確に吸い上げ、外部機関と連携しながら多様なサービスを提供し、生活の質を高めていくことを計画している。
従来、高齢者のみを対象にしたシニア向けマンションなどは存在したものの、全世代を対象にしたマンションというものは前例がない。医療技術の進歩によって健康寿命が伸びるなかで人生の最後は自宅で迎えたいというニーズを抱える人、コロナ禍の影響により多様な働き方を実現したいと考える単身世帯、若い家族世帯など、様々なニーズが存在する現在において、外部の機関と連携しながらニーズを満たす多様なサービスを提供していく全世代型のマンションは、今後のマンション形態のメインストリームになる可能性が十分にあると弊社は考えている。実際、現在実施しているモデルルームの見学は活況を呈しているという。
同社は、「ウェルビーイングシティ構想」をまずは分譲マンションブランド「CANVAS」から始め、将来的には街全体の開発という面に広げていきたい考えだ。
「ウェルビーイングシティ構想」に対しては社会の注目度も高く、コロナ禍に直面した多くの人が「本当の幸福(ウェルビーイング)とは何か」を模索し始めている今だからこそ刺さるブランドコンセプトであり、今後、同社の売上に貢献していくと弊社は考える。
第三者機関による検査導入で信頼度が増す
4. 安全と品質維持のための取り組み
2005年の耐震強度構造計算書偽装事件に続き、2015年のマンションデータ偽造問題など、マンションに不信感を抱かせる事件が生じ、マンションに対する「安全・安心・堅実」が強く求められるようになっている。
これらの問題は、消費者にマンション購入を躊躇させることにつながり、実際、一時的に業界全体で販売が落ち込んだ。こうしたなかにあっても、同社は着実に受注を伸ばしたが、それは、品質にこだわり、良質で均一な品質維持のための取り組みを行ってきたことと無縁ではない。
同社では、社内で独立した専門部署である安全品質管理室による安全巡回・品質管理に加えて、第三者機関による検査を行うことでダブルチェック体制を整えるなど、安全と品質に対して徹底した姿勢で厳格な管理を実施している。安全品質管理室では、社長直轄の独立した部門として、社員教育や健康管理も含めて事業の安全を厳しく管理している。
委託契約した第三者機関は、杭や配筋の検査、生コン工場の品質管理体制の確認等、厳しい施工監査を行う。杭の施工では、講習を受けた社員が立ち会い、支持層への到達を確認し、一部の工法を除き支持層のサンプルを必ず全数採取・保管し、竣工時に事業主へ引き渡す。また、着工した後、安全品質管理室は、すぐに建築部門と連携、施工検討会への参画に始まり、各作業所を毎月1回以上巡回して技術支援を行い、安全及び品質管理が正しく行われていることを確認・記録しているほか、業務基準となる「建築施工マニュアル」についても常に内容を検討・改善し、毎年改訂するなど、「安全・安心・堅実」への強い取り組みが、事業主からの高い信頼につながっている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 清水陽一郎)
《ST》
2022/3/4
1stコーポ Research Memo(3):同社の事業を支える4つの強み
*15:13JST 1stコーポ Research Memo(3):同社の事業を支える4つの強み
■事業内容と沿革
2. 同社の強みと事業モデル
ファーストコーポレーション<1430>の強みのなかでも特筆すべきであると弊社が考えるのは、1)造注方式による特命受注を可能にしていること、2)社内で事業用地の情報がしっかりと共有されていること、3)「土地を制するものが全てを制する」という方針のもと、トップが自ら意思決定を行うこと、の3点である。
(1) 造注方式による特命受注
「造注方式」とは、同社の急成長を実現させた事業モデルである。これは、他社に先駆けてマンション用地を仕入れ、企画・設計を行い事業主に提案、特命で工事を受注して施工し引き渡す方式だ。各事業主のニーズに合った事業開発を提案するなかで、精度の高い用地情報を幅広く収集して、用地情報の確保から企画提案までを最短10日間というスピードで実現している。
造注方式の具体的な流れは、まず不動産会社や金融機関、土地所有者など、多岐にわたる独自のネットワークを駆使してマンション用地情報の収集を行い、次に、立地特性を最大限に生かせるよう、周辺環境、マーケティング、権利関係、各種法規制等の調査を実施し、クオリティの高い、そうしたプランから事業主に対し、土地代、建築費、設計料等の諸経費をもとに事業収支を作成し、より緻密で正確な事業計画の提案を行う。そのうえで、事業主の要望を立案する。
そして、効率的なプランをベースに適正かつ有効的な建築費の見積りを行い、オリジナルの各種標準仕様を選定する。最大限に考慮した建築費の見積りを提示し、工事を特命で受注することになる。
造注方式は、同社が土地を押さえることによって主体的に企画提案を行うことができるため、競争入札で建設工事を受注する場合と比較して契約条件が良くなる。一般的に、建設会社はこうした特命工事の比重をいかに高められるかが、収益向上につながるポイントとなるが、同社は「造注方式」により高い特命比率を実現し、事業運営の効率化と高い利益率の両立を可能にしているのである。
(2) 社内における正確かつ素早い情報共有
次に弊社が同社の強みと考えているのが事業用地の情報が社内でしっかりと共有されていることだ。毎週行う会議のなかで、土地開発専任の部署が仕入れてきた用地の情報を営業と共有し、連携を密にとっている。このことにより、デベロッパーに対して営業を行う法人営業は、それぞれのデベロッパーに適した事業用地の情報を迅速かつ的確に提案することが可能になる。こうした社内の風通しの良さが事業用地とデベロッパーを他社に先駆けてマッチングさせることにつながっている。
(3) トップによる迅速な意思決定
同社の哲学の1つである「土地を制するものが全てを制する」に基づき、重要な事業用地に関しては、トップである中村利秋(なかむらとしあき)代表取締役社長が実際に現地に出向き、その場で購入するかどうかの意思決定を行う。一般的に不動産業界においては、事業用地を探しているデベロッパーが多いものの、適した土地が見つかりにくいというのが現状である。都市部などの首都圏においては特に顕著であり、こうした状況のなかで、トップが自ら迅速な意思決定を行うことで、競合よりも先に優良な事業用地を獲得することを可能にしているのである。
(4) 土地情報を獲得する独自のネットワーク
通常、事業用地の情報を取得するためには、地域の不動産屋、金融機関などに足繁く通ってゼロから信頼関係を構築し、土地の情報を仕入れるという長いスパンの活動が必要とされる。もちろん、同社においてもこういった地道な活動によって獲得される情報網もある一方で、中途採用による社員の持つネットワークから土地の情報を取得する事例も多いという。魅力的なネットワークを持った人材を採用することによってゼロから関係を構築するという手間を省くことができ、効率的な情報の収集と土地の確保につながっていると弊社は考える。
上記に加えて、さらに今後はZENAS(ジーナス)工法(12m以上のワイドスパンを実現する新免震工法)も強みの1つになってくると弊社は考えている。ZENAS工法によって、従来よりも特定の部材を少なくできるためだ。これにより、今後建設資材価格が上昇していく状況にあっても利益をしっかりと確保することが可能になってくるだろう。また、コストが下がればその分価格を抑制することができることから、価格競争力にもつながると考えている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 清水陽一郎)
《ST》
2022/3/4
1stコーポ Research Memo(2):分譲マンションに特化したゼネコン
*15:12JST 1stコーポ Research Memo(2):分譲マンションに特化したゼネコン
■ファーストコーポレーション<1430>の事業内容と沿革
1. 事業内容
創業は2011年6月で、資本金40,000千円でスタートした。以来、「より良質な住宅を供給し、豊かな住環境に貢献する」を社是、「安全・安心・堅実」をモットーとして、良質で安価な住宅を供給してきた。分譲マンション建設に特化したゼネコンである。
事業エリアは、東京、神奈川、千葉、埼玉の1都3県で展開している。これら首都圏と呼ばれるエリアは、全国的に人口減少となるなかで、依然として人口が増加傾向にあるほか、再開発需要が旺盛であるため、マンション需要はなお拡大する見通しだ。
国土交通省の建築着工統計調査報告によると、首都圏1都3県のマンション建設の着工戸数は、2020年は53,913戸と前年比で9.2%減となった。2018年に落ち込んだ後、2019年に回復する兆しを見せたところで、新型コロナウイルス感染症拡大(以下、コロナ禍)の影響もあり、2021年には前年比7.3%減の49,962戸となった。一方、マンションの供給戸数は、さらに増加率が大きく、2020年の27,228戸から2021年は同17.5%増の33,636戸となり、コロナ禍においては不透明感が残りながらも、消費者のマンション購入意欲が強いことが示された。コロナ禍の影響でモデルルームの稼働が止まるなど、販売活動が大きく制限されたものが、徐々に落ち着いてくるものと見られる。
価格面では良好な状態に変わりが見られない。首都圏のマンション価格は2018年に一段落した格好となったが、2019年から再び上向いている。(株)不動産経済研究所によると、2020年の都下の販売価格平均は6,082万円と2019年の5,980万円から上昇し、2021年は5月までの統計で6,449万円となった。とりわけ、都区部の上昇が著しく、2020年は7,712万円と2019年の7,286万円からアップし、2021年も8,293万円とついに8,000万円を突破した(不動産経済研究所「首都圏 新築分譲マンション市場動向 2021年のまとめ」2022年1月25日発表)。
今後は、コロナ禍の影響によるテレワーク化の推進により、居住地を都心に求める必要がなくなる層が拡大傾向にある。生活様式の変化から郊外案件の引き合いも活発化することが予想される。こうしたなか、同社は強みである「造注方式」を生かして事業用地を確保、積極的にデベロッパーに営業をかけることにより、収益アップを実現していきたい考えだ。
同社は、この「造注方式」を武器に創業後は急速に成長、2015年3月には東証マザーズに創業からわずか3年9ヶ月で上場し、2016年12月には東証1部に指定替えとなった。今後は新たな分譲マンション自社ブランド「CANVAS」の開発推進、再開発事業、アクティブシニア向けマンションの建設など業容に厚みを加え、成長を加速させていきたい考えだ。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 清水陽一郎)
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2022/3/4
1stコーポ Research Memo(1):2022年5月期第2四半期は大幅増収増益を達成
*15:11JST 1stコーポ Research Memo(1):2022年5月期第2四半期は大幅増収増益を達成
■要約
ファーストコーポレーション<1430>は、マンション建設に特化した建設会社である。創業は2011年6月と歴史が浅いが、2015年3月に東京証券取引所(以下、東証)マザーズに上場したのに続き、2016年12月には東証1部市場に指定替えと、創業からわずか5年半で1部上場企業になるスピード上場を果たし、文字どおりの急成長を遂げた。
社是は「より良質な住宅を供給し、豊かな住環境に貢献する」で、「安全・安心・堅実」をモットーに事業を展開している。主要事業エリアをマーケットの将来性が高い東京圏(1都3県)とし、分譲マンション建設に特化した工事請負を主として事業を推進してきた。足元では、再開発事業、アクティブシニア向け分譲マンションの建設に注力しているほか、人生100年時代に対応した「ウェルビーイングシティ構想」に基づく自社ブランド「CANVAS(キャンバス)」の分譲マンション開発に着手、初の案件として京王相模原線多摩境駅に総戸数183戸に上るCANVAS南大沢の建設を進めている。「住・食・働・学・遊・健・看」をキーワードに、様々な世代の人たちにとって終の住処になるような分譲マンション・街を開発していくことを計画している。
同社の急成長を支えているのが「造注方式」と呼ぶ事業モデルである。これは開発部隊がマンション用地を仕入れ、企画・設計を行い事業主に提案、特命で工事を受注して施工し引き渡す方式だ。これによって、主体的に企画提案を行うことができるため、競争入札で建設工事を受注する場合と比較して契約条件が良くなることから、事業運営の効率化や安定した利益確保を可能としている。
ゼネコンとして、土地開発の専任部隊を有し、これが強みとなっているほか、スピーディーな決裁プロセスによって、競合に対し優位に立つ。同社が主戦場としている東京圏においては、なお市場開拓余地が大きく、この「造注方式」を活用することによって、中長期的に成長が見込まれると弊社は考えている。最近では、東京圏での都区部からニーズが強い郊外に力点を置き、受注拡大に注力している。
2022年5月期第2四半期は、売上高が前年同期比89.8%増の14,560百万円、営業利益が同221.2%増の806百万円、経常利益が同257.7%増の802百万円、四半期純利益が同278.9%増の560百万円と、大幅な増収増益を達成した。特に純利益の伸びが大きく、278.9%増と4倍弱に急伸していることは注目に値する。このことからも同社の造注方式を中心とした事業モデルが高い収益性を可能にしていることが窺えるだろう。第2四半期末までにマンション事業用地2件を売却したことによって不動産売上高が同21.9倍と急伸するなか、販管費率(売上高に占める販管費及び一般管理費の割合)を7.8%から4.3%へと減少させるなど、コスト抑制努力が実を結び、大幅な増収増益を達成した格好だ。
2022年5月期の見通しは、売上高が前期比26.7%増の26,500百万円、営業利益が同3.2%増の1,720百万円、経常利益が同5.7%増の1,700百万円、当期純利益が同5.0%増の1,182百万円と増収増益を見込んでおり、期初計画値からの変更はない。第4四半期に造注方式による総額150億円の受注(案件としては2件)を予定しており、これを追い風に計画達成を実現してくと弊社は考える。
■Key Points
・2022年5月期第2四半期決算は前年同期比で大幅な増収増益を達成
・2022年5月期も造注方式を軸に増収増益を見込む
・「ウェルビーイングシティ構想」のもと、分譲マンション自社ブランド「CANVAS」を発表。今後の収益基盤へ
(執筆:フィスコ客員アナリスト 清水陽一郎)
《ST》
2022/1/13
ファーストコーポレーション---2Qも大幅な増収増益、新ジャンルの分譲マンションプロジェクトが始動
*14:42JST ファーストコーポレーション---2Qも大幅な増収増益、新ジャンルの分譲マンションプロジェクトが始動
ファーストコーポレーション<1430>は7日、2022年5月期第2四半期(21年6月-11月)決算を発表した。売上高が前年同期比89.8%増の145.60億円、営業利益が同221.2%増の8.06億円、経常利益が同257.7%増の8.02億円、四半期純利益が同278.9%増の5.60億円となった。
同社は、年商500億円の実現に向けた新中期経営計画(3カ年計画)「Innovation2021」を策定しその達成に向け取り組んでいる。今後も業容拡大と利益水準向上への継続的な取り組み及び新たな価値創出により持続的な成長を目指している。
当第2四半期累計期間においては、新しいジャンルの分譲マンションプロジェクト「ウェルビーイングシティ構想」を始動し、その第1弾の物件として「CANVAS南大沢」を企画した。マンションという「住まい」を提供するだけでなく、住まう人々の豊かな暮らしを実現するための様々なサービスを提供し続けることで、持続的かつ多面的に満たされる暮らしを提供し、持続可能な社会の構築に貢献していくとしている。また、12メートル以上のワイドスパンを実現する新たな免震工法として「ジーナス(ZENAS)工法」を開発しており、早期の実物件採用を目指している。柱や壁のない大空間や、バルコニー側を大開口とした換気・採光に優れた間取りの実現が可能となり、建築資材の削減や建築廃棄物の抑制にも繋がるサスティナブルな工法となっている。
2022年5月期通期の業績予想については、売上高が前期比26.7%増の265.00億円、営業利益が同3.2%増の17.20億円、経常利益が同5.7%増の17.00億円、当期純利益が同5.0%増の11.82億円とする期初計画を据え置いている。
《ST》
2021/12/3
イメージワン
[来週の買い需要(表)]
コード;銘柄;株価インパクト;買い需要;信用倍率;終値;前日比 <3041> ;ビ花壇;483%;2900;5.26;253;1 <5819> ;カナレ電気;274%;21900;0.17;1719;11 <1430> ;ファーストコポ;269%;58300;0.21;697;32 <6400> ;不二精機;259%;127400;3.91;520;4 <7524> ;マルシェ;218%;34600;0.73;415;18 <3851> ;日本一S;211%;35700;2.73;1767;30 <2752> ;フジオフード;205%;122500;0.10;1383;38 <3154> ;メディアスHD;161%;21300;3.28;919;25 <2667> ;イメージワン;141%;367700;8.44;789;49 <8887> ;リベレステ;141%;19400;0.36;765;9 <8207> ;テンアライド;133%;188300;0.24;308;3 <3198> ;SFPダイニン;122%;108800;0.74;1348;62 <7294> ;ヨロズ;115%;20900;0.79;1091;29 <3067> ;東京一番;114%;10400;0.45;587;1 <3085> ;アークランド;102%;191300;0.18;2280;67 <9713> ;ロイヤルホテル;100%;3100;2.12;1170;15 <4251> ;恵和;99%;48500;1.39;6020;100 <9612> ;ラックランド;86%;19800;0.09;2962;51 <3091> ;ブロンコB;81%;91100;0.20;2318;66 <1542> ;純銀信託;79%;4702;6.18;7699;61
[コメント]
イメージワンは信用倍率が8倍台と取り組み妙味はないが、足元は安値期日となるため、需給悪化にはならず。2か月後には高値期日がくるため、それまでに取り組みが改善するかが注目されよう。
《FA》
2021/10/11
ファーストコーポレーション---1Qは大幅な増収増益、新中期経営計画の達成に向け順調なスタート
*12:32JST ファーストコーポレーション---1Qは大幅な増収増益、新中期経営計画の達成に向け順調なスタート
ファーストコーポレーション<1430>は8日、2022年5月期第1四半期(21年6月-8月)決算を発表した。売上高が前年同期比169.0%増の100.68億円、営業利益が同446.5%増の6.21億円、経常利益が同525.2%増の6.20億円、四半期純利益が同563.8%増の4.35億円となった。
同社は「より良質な住宅を供給し、豊かな住環境に貢献する」という社是を制定し、より良質な住宅を供給するという社会的使命を果たすべく事業を推進している。「安全・安心・堅実」という基本方針に関し、安全については、安全パトロールの実施等により重大事故ゼロを継続している。安心と堅実に対応する品質については、独自のマニュアルの制定や、その徹底を図る目的としての研修会等を定期的に開催している。また、建物の強度を保つ重要な躯体部分(杭、配筋、生コンクリート)の品質について、第三者機関による検査を導入し、建物の品質確保に万全を尽くしている。
創業から11年目を迎え、年商500億円の実現に向け、2022年5月期からの新中期経営計画(3カ年計画)「Innovation2021」を策定した。業容拡大と利益水準向上への継続的な取り組み及び新たな価値創出により持続的な成長を目指すこととし、その達成に向け取り組んでいる。
2022年5月期通期の業績予想については、売上高が前期比26.7%増の265.00億円、営業利益が同3.2%増の17.20億円、経常利益が同5.7%増の17.00億円、当期純利益が同5.0%増の11.82億円とする期初計画を据え置いている。
《ST》
2021/8/11
1stコーポ Research Memo(7):配当性向30%以上
*15:17JST 1stコーポ Research Memo(7):配当性向30%以上
■株主還元
ファーストコーポレーション<1430>の配当金は2020年5月期が年20円、2021年5月期は普通配年28円に創業10周年の記念配当10円を加えて年38円となった。
中期経営計画では2022年5月期に年30円、2023年5月期に年34円、2024年5月期に年40円を目標値として掲げている。同社は配当性向30%以上を目安としており、内部留保の状況などによっては、配当性向のアップが見込まれる。
また2016年11月30日より株主優待制度を開始している。保有株式数と保有期間に応じてQUOカードを進呈している。
さらに、上限100万株、買付資金700百万円で、自己株式の取得を実施しており、2021年4月20日までに100万株を取得した。
■サイバーセキュリティについて
同社はマンション関連ビジネスと言っても、一般のデベロッパーなどとは異なり、BtoB のビジネスがメインであるため、顧客名簿が多い訳ではないが、ネットワーク上のセキュリティに関するルールを決め、管理を徹底している。例えば、パスワード管理によるアクセス制限等による情報漏洩策を強化している。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 水野文也)
《ST》
2021/8/11
1stコーポ Research Memo(6):ZENAS工法の開発で受注拡大に弾みも、1都3県の市場開拓余地は大きい
*15:16JST 1stコーポ Research Memo(6):ZENAS工法の開発で受注拡大に弾みも、1都3県の市場開拓余地は大きい
■ファーストコーポレーション<1430>の中期的な展望
1. ZENAS工法
中期的に大きなトピックスとして注目されるのが、東京理科大学発ベンチャーの(株)サイエンス構造と共同研究を進め、このほど開発したZENAS工法だ。
これは、12m以上のワイドスパンを実現する新免震工法である。従来の一般的なマンションのワイドスパンは7m以上となっているが、大スパンを実現させたことによって、今までになかった間取りが可能となる。換気効率が上昇するほか、柱や壁に遮られることのない戸建て建築のような大空間を実現させることができるようになった。
さらには、建設する際に柱の本数が減少することで、コンクリート型枠使用量、型枠合板使用量、作業員数などを削減できる。このように現場負荷を軽減し、コストマネジメントに優れた工法と言えそうだ。
特に、ユーザーにとっては自由設計が行いやすくなるというメリットが大きい。現在、この工法を活用した受注活動を進めているが、2022年5月期あたりには第1号案件を手掛けることになりそうだ。購入者のニーズに沿う物件が提供できる工法とあって、今後の同社の受注において強いツールとなることは想像に難くない。
また、同社が主要事業エリアとしている1都3県(東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県)の分譲マンション建設市場は、全国的に人口が減少するなかにあって、増加傾向をたどっているほか、同社のこの地域でのシェアは直近で2%程度であり、なお市場開拓の余地が広いと言えそうだ。
当面の事業環境について展望すると、大手ゼネコンは、大型都市再開発事業や公共工事などで手持ち工事が豊富となっており、マンション建設請負に消極的な状況だ。
一般的に建設業界においては、全体的に工事量が減少すると、大手といえども中小規模の案件に手を伸ばすほか、採算を度外視するような形で受注を獲得する業者も出現するなど収益環境は一気に悪化する。工事量が多い現在は、そうした厳しい状況を心配する必要がない。
今後のポイントになるのは、より収益力を高めるための大型案件の受注となる。そのためにも、用地確保に全力を注ぐ考えだ。
九州支店でもビジネスが本格化
2. M&Aを念頭に置いた事業展開
一時期、建設業界を苦しめた資材費の高騰は、このところ落ち着きを見せているものの、慢性的な人手不足は引き続き気になる要因だ。状況によっては、営業費用の増加につながる要因として、人件費の高騰が収益を圧迫する可能性もある。
同社は、その解消策としてM&Aを念頭に置く。人材育成には時間を要するため、現状では規模に応じた受注を心掛けているものの、必要に応じM&Aによる陣容増強に踏み切る。M&Aについてはコストパフォーマンスに留意し、慎重に行っていくとしている。さらに、新たな事業領域を広げるためにM&Aを活用する考えだ。
他方、将来の成長性を考えたうえで重要なポイントとなるのがエリアの拡大だ。そのなかで注目できるのが九州支店だ。同支店については、2018年4月にオープンした後、投資の状態が続いていたものの、直近では博多区においてオフィスビルを手掛け、この案件は2022年4月に売却を予定しており、今後の足掛かりを作った。
同支店は許認可の関係で、当面は建築を外部に委託する不動産会社のような業務となるが、将来的には福岡周辺でも造注方式で案件を開拓していく。施工の部分を除いた造注方式といったイメージだ。
福岡のマンション市況は、アジアへの玄関口であるこの地域の人口が2038年まで増加が見込まれていることから、将来的なビジネスの展開を踏まえても、ここに支店を開設した意味は大きい。
中期経営計画「Innovation2021」を策定
3. 中期経営計画について
このほど中期経営計画「Innovation2021」を策定したが、創業10年目の節目を超えたことで、将来的に「年商500億円企業」を目指すため、業容拡大と利益水準の向上に継続的に取り組むとともに、新たな価値の創出と持続的な成長を目指すことを基本方針として掲げている。
この計画では、前中期経営計画を継承し、重点施策として以下を挙げた。
1) 中核事業強化の継続
2) 再開発事業への注力
3) 事業領域拡大による新たな価値創出
4) 人材の確保・育成、働き方改革の推進
中核事業におけるポイントとなるのは、やはり造注方式の推進だ。造注方式は同社にとって成長の原動力となるため、コンスタントな用地確保がカギとなることは今後も変わりなく、建築事業の強化も図る。
再開発事業は前述したとおり、群馬県前橋市のプロジェクトに続き、横浜市緑区など新たなプロジェクトについての布石を打っているが、この拡充によって中長期的な収益基盤の確立を目指す。さらに、収益基盤を多様化するため、M&Aによる業容拡大や、周辺事業にも力を注ぐ考えだ。
「Innovation2021」の数値目標としては、2024年5月期に売上高30,000百万円、営業利益2,400百万円、経常利益2,350百万円、当期純利益1,595百万円、受注額21,000百万円を掲げている。
受注額が少ない印象があるものの、これは業界における恒常的な人手不足や、同社の事業キャパシティーを考慮して、無理な受注をしないという方針があることが背景にある。さらに、全体としては、現状で確実性のある工事案件をカウントするとともに、不動産事業も手持ちの案件のみを対象としているため、目標数値は保守的と言えそうだ。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 水野文也)
《ST》
2021/8/11
1stコーポ Research Memo(5):土地の手当が引き続き課題に
*15:15JST 1stコーポ Research Memo(5):土地の手当が引き続き課題に
■今後の展開
1. 事業環境と見通し
マンション開発において「土地を制する者がすべてを制する」(中村利秋(なかむらとしあき)代表取締役社長)と言われるなかで、ファーストコーポレーション<1430>は本格的に土地開発の専任部隊を置き、良質な土地を確保している。そこにデベロッパーと協調しながら良い建物を建てていく──そうした形で事業を進めているが、現実に造注方式の大元となる建設用地の確保が着実に進んでいる。
直近の収益動向は、コロナ禍による一時的な悪化要因のほか、用地確保が厳しかったことが伸び率の鈍化につながった。ホテルとの競争激化が沈静化しながらも、なお、地権者は強気な状況にあり、用地取得についての環境は引き続き楽観視できない。
ただ、土地取引に関しては、かつてがそうだったように、潮目が変わるとがらりと様相が変化する特徴がある。用地確保がスムーズになるとともに、造注方式による案件のさらなる増加が見込めるようになれば、収益が再び上向くことを期待できるようになり、現在はその兆候が現れている状況だ。今後も、良質な土地をいかに手当てできるかが課題となる。
また、将来的な成長を考えるうえで注目できるのが、健康な高齢者向けのマンション、いわゆるアクティブシニア向けのマンションだ。高齢者向けのマンションというと、多くの業者が介護付きのサ高住(サービス付き高齢者向け住宅)で展開しており、アクティブシニア向けを手掛ける業者は少ないが、同社はこの分野で先行している。
アクティブシニア向けは、そもそも通勤仕様ではないため、駅前立地でなくて良い。さらに、温泉やジムなど付帯設備の建設で単価がアップできるなど、利益面でも期待できる案件だ。2021年5月期に売却して収益に貢献した大型案件である東京都八王子市のプロジェクトも、アクティブシニア層を主要ターゲットとしたマンションとして共同事業で行った案件だ。
大型案件のなかには、デベロッパーと共同事業で行うケースもある。これまでもいくつか実績があるものの、今後もデベロッパーと組む案件が多くなっていくものと見られる。これらは収益の下支え効果をもたらしそうだ。
顧客となる取引先も増加した。2020年5月期は31社だったのが、2021年5月期には三菱地所レジデンス(株)、野村不動産(株)が加わり33社に増加している。このほか、具体的な取引先としては、(株)アーネストワン、東京建物<8804>、日本土地建物(株)、日鉄興和不動産(株)、三井不動産レジデンシャル(株)、阪急阪神不動産(株)、東急不動産(株)、(株)中央住宅といった大手の著名デベロッパーが多く名を連ねている。今後も取引先が拡大するとともに、ビジネスの幅も広がっていきそうだ。
再開発事業の開花によって収益は上昇基調に
2. 再開発事業
さらに同社は、再開発事業に注力している。この分野では現在、JR前橋駅北口地区第一種市街地再開発事業に事業施行者として参画している。ここでは、地上27階建の施設を建設するなど、同社にとって大きな案件だ。2020年に着工し、当面の収益源として貢献する。このプロジェクトで高層建築の実績を構築でき、今後のタワーマンションへの展開に強力な武器となることも見逃せない。このプロジェクトについては、2023年10月の工事完了を見込んでいる。
さらに、再開発に関しては、横浜市緑区においても大規模事業に参画、デベロッパーとジョイントで計画を具現化していく。そのほかにも、青森県弘前市でも既に用地を取得するとともに、準備組合に加盟するなど今後が楽しみな案件になりそうだ。将来的にこれらの再開発ビジネスが次々に開花すれば、同社の収益は上昇基調を確実なものにすると思われる。
他方、一般の施工案件でも、業界で大型工事と言われる10,000百万円以上の案件を手掛けていることも見逃せない。千葉市中央区の案件は、JR千葉駅至近にある案件で、同社の造注案件としては最大規模である。工期は本体だけでも3年間に及ぶため、当面の安定的な収益源になる。
コロナ禍における新しい生活様式へも対応
3. コロナ禍への対応
同社でもコロナ禍の影響は少なからずあった。2020年の緊急事態宣言下では、モデルルームでの商談ができない状況に陥るなど、販売に大きく影響した。対策としてはバーチャルリアリティーを駆使した商談が考えられるが、販売会社が対応していない。というのも、マンション購入というのは、一般消費者にとって「一生に一度の買い物」である。それをオンライン取引で完結するのはどうにも無理が生じる。現地でモデルルームを観る、実際に物件を直接チェックして初めて、購入に踏み切るものであろう。そうした意味において、コロナ禍の終息が1日も早く待たれるところだ。
一方で、コロナ禍による新しい生活様式は、マンション販売動向にも微妙な影響を及ぼしている。マンション販売は、都心部の高価格帯物件と郊外のリーズナブルな物件の二極化が進んでいるが、昨今ではテレワーク化の推進によって、郊外の案件に住居ニーズが移りつつあるという。それに合わせ、同社も郊外の案件に目を向けて実際に商談を進めており、今後も注力していく考えだ。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 水野文也)
《ST》
2021/8/11
1stコーポ Research Memo(4):22年5月期は増収増益を見込む
*15:14JST 1stコーポ Research Memo(4):22年5月期は増収増益を見込む
■ファーストコーポレーション<1430>の業績動向
2021年7月9日に発表した2021年5月期の決算は、売上高が前期比10.7%減の20,919百万円、営業利益が同24.1%増の1,666百万円、経常利益は同24.0%増の1,608百万円、当期純利益は同29.0%増の1,125百万円と減収増益となった。
売上高は2ケタの減収となったものの、当初の計画が21,000百万円だったため、ほぼ計画通りとなった。目標に対する達成率は99.1%だった。期中にコロナ禍の影響が少なからずあったことを考えれば、減収ながらも健闘したと言えよう。特に共同事業は、販売を促進するモデルルームが度重なる緊急事態宣言の発令による外出自粛のため機能が低下した。モデルルームを活用した商談が営業の基本となるほか、この機能低下は販売広告の打ち直しなどコストアップにつながってくるだけに、今後もコロナ禍による人の動きの変化について注視したいところだ。
利益面については、完成工事総利益が計画値の1,546百万円を下回る1,257百万円で着地した。前期の1,201百万円を上回ったものの、造注案件の着工にずれが生じたほか、一部の現場で近隣対応に伴う工事の一時中断などがあり、これが完成工事利益率低下の要因となっている。完成工事利益率については、計画値では10.2%を想定していたものの、前年の9.4%から低下して8.4%となった。
反面、不動産売上総利益は計画値1,008百万円、前年実績1,030百万円をいずれも大幅に上回る1,493百万円を確保した。これは売却した土地の価格が想定を大幅に上回ったことで、そのまま利益を押し上げる要因になった。完成工事総利益の下振れを、不動産売上総利益の増加でカバーし、全体の利益率を向上させた形となっている。
財務状況では、不動産売却に伴う返済によって借入金が減少した。不動産取得資金の調達等で長期借入金は前期末の3,335百万円から3,675百万円に増加したが、上記の理由により短期借入金(1年以内返済予定の長期借入金を含む)が同3,200百万円から930百万円に縮小し、トータルで1,930百万円の減少となった。剰余金等は前期末の5,355百万円から5,553百万円に増加したことで、純資産は前期末比197百万円増の6,282百万円となり、その結果、自己資本比率は前期末の33.9%から36.0%まで上昇した。
一方、事業を遂行するうえで肝となる用地の確保は、引き続き楽観視できない状況にある。利便性が高い好立地の案件に関しては取得競争が激しい。今後も、あくまで採算を無視して取得することはしないとしている。
東京2020オリンピック・パラリンピック特需と言われていた2~3年前まで、ホテルとの用地確保における競争において、ホテル業界が提示する利回り等の条件で、どうしてもマンションは優位に立てず、良質な用地がホテル建設にさらわれる状況が続いていた。こうした厳しい状況は一巡しながらも、都心部はこれまでと変わらず、郊外においてはテレワーク化も背景に好立地案件についての取得競争が激化しそうな状況で、今後も行方が注目される。
受注については、好調に推移している。2021年5月期は計画の9件を上回る10件を獲得した。受注額は23,103百万円となった。うち、造注方式での受注額は8,274百万円で前期の1,873百万円から大きく伸び、受注額における造注比率は前期の13.1%から35.8%に上昇した。前述したように、造注方式の物件は収益性が高いため、これによって利益率がアップすることになる。
2022年5月期の見通しについては、売上高が前期比26.7%増の26,500百万円、営業利益が同3.2%増の1,720百万円、経常利益が同5.7%増の1,700百万円、当期純利益が同5.0%増の1,182百万円と増収増益を見込んでいる。
引き続きコロナ禍による影響が懸念視されながらも、販売面においては引き続き好調に推移しそうだ。特に、課題になっていた群馬県前橋市の再開発案件が2021年5月期から寄与し始め、これが2022年5月期、2023年5月期ともに安定した収益源として貢献する。利益面については、2021年5月期の不動産事業で想定以上の販売価格となったことを考慮すれば、売上高に比べて伸び率は小さいながらも、好調に推移するとみていいだろう。
実際、完成工事総利益は2022年5月期の1,257百万円から1,695百万円と前期比34.8%増を見込んでいる。2021年5月期の増益は不動産事業に助けられたことが大きいが、2022年5月期は造注比率の上昇もあって、主力のマンション建設・販売で収益を拡大させることになりそうだ。
なかでも、寄与する案件で注目できるのは群馬県前橋市の再開発案件と、現在は解体中の千葉市中央区における大型案件の着工である。全体的に、工事、不動産販売とも現時点で確実性の高いもので見通しを立てており、2022年5月期の予想については保守的とみられ、上振れの余地が大きいとみられる。
2022年5月期の受注額は22,000百万円(前期比4.8%減)を想定している。2021年5月期の10件(うち造注方式による案件4件)から7件(同2件)に減少するものの、造注方式による案件の受注額は15,000百万円と前期比81.3%増と大幅な伸びを見込む。うち、1件は千葉市中央区の10,000百万円を超す大型案件であり、これが向こう3年ほど収益に寄与するなど、将来的な利益率のアップにつながることになると注目できそうだ。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 水野文也)
《ST》
2021/8/11
1stコーポ Research Memo(3):第三者機関による検査導入で信頼度が増す
*15:13JST 1stコーポ Research Memo(3):第三者機関による検査導入で信頼度が増す
■事業内容と沿革
3. 安全と品質維持のための取り組み
2005年の耐震強度構造計算書偽装事件に続き、2015年のマンションデータ偽造問題など、マンションに不信感を抱かせる事件が生じ、マンションに対する「安全・安心・堅実」が強く求められるようになっている。
これらの問題は、消費者にマンション購入を躊躇させることにつながり、実際、一時的に業界全体で販売が落ち込んだ。そうしたなかにあっても、ファーストコーポレーション<1430>は着実に受注を伸ばしたが、それは、品質にこだわり、良質で均一な品質維持のための取り組みを行ってきたことと無縁ではない。
同社では、社内で独立した専門部署である安全品質管理室による安全巡回・品質管理に加えて、第三者機関による検査を行うことでダブルチェック体制を整えるなど、安全と品質に対して徹底した姿勢で厳格な管理を実施している。安全品質管理室では、社長直轄の独立した部門として社員教育や健康管理も含めて、事業の安全を厳しく管理している。
委託契約した第三者機関は、杭や配筋の検査、生コン工場の品質管理体制の確認等、厳しい施工監査を行う。杭の施工では、講習を受けた社員が立ち会い、支持層への到達を確認し、一部の工法を除き支持層のサンプルを必ず全数採取・保管し、竣工時に事業主へ引き渡す。また、着工した後、安全品質管理室は、すぐに建築部門と連携、施工検討会への参画に始まり、各作業所を毎月1回以上巡回して技術支援を行い、安全及び品質管理が正しく行われていることを確認・記録しているほか、業務基準となる「建築施工マニュアル」についても常に内容を検討・改善し、毎年改訂するなど、「安全・安心・堅実」への強い取り組みが、事業主からの高い信頼につながっている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 水野文也)
《ST》
2021/8/11
1stコーポ Research Memo(2):分譲マンションに特化したゼネコン
*15:12JST 1stコーポ Research Memo(2):分譲マンションに特化したゼネコン
■ファーストコーポレーション<1430>の事業内容と沿革
1. 事業内容
創業は2011年6月で、資本金40,000千円でスタートした。以来、「より良質な住宅を供給し、豊かな住環境に貢献する」を社是、「安全・安心・堅実」をモットーとして、良質で安価な住宅を供給してきた。分譲マンション建設に特化したゼネコンである。
事業エリアは、東京、神奈川、千葉、埼玉の1都3県で展開している。これら首都圏と呼ばれるエリアは、全国的に人口減少となるなかで、依然として人口が増加傾向にあるほか、再開発需要が旺盛であるため、マンション需要はなお拡大する見通しだ。
国土交通省の建築着工統計調査報告によると、首都圏1都3県のマンション建設の着工戸数は、2020年は53,913戸と前年比で9.2%減となった。2018年に落ち込んだ後、2019年に回復する兆しをみせたところで、新型コロナウイルス感染拡大(以下、コロナ禍)の影響もあって再びダウンしているが、2021年には前年比11.3%増の60,000戸と回復する見通しだ。コロナ禍においては不透明感が残りながらも、消費者のマンション購入意欲が強いことが示された。一方、マンションの供給戸数は、さらに増加率が大きく、2020年の27,228戸から2021年は同17.5%増の32,000戸となる見通しだ。コロナ禍の影響でモデルルームの稼働が止まるなど、販売活動が大きく制限されたものが、徐々に落ち着いてくるものとみられる。
価格面では良好な状態に変わりがみられない。首都圏のマンション価格は2018年に一段落した格好となったが、2019年から再び上向いている。2020年の都下の販売価格平均は6,082万円と2019年の5,980万円から上昇し、2021年は5月までの統計で6,449万円となった。とりわけ、都区部の上昇が著しく、2020年は7,712万円と2019年の7,286万円からアップし、2021年も5月までで8,100万円とついに8,000万円を突破した。
このように、東京圏においては都区部と都下や神奈川、千葉、埼玉3県など郊外との価格に二極化が進んでいる。都区部は富裕層向けに、後者は一般勤労者向けにそれぞれニーズが高い状況だが、同社が主体とするファミリー向けについては、価格面から消費者が郊外に物件を求める傾向が強いという。また、コロナ禍の影響によるテレワーク化の推進で、居住地を都心に求める必要がなくなる層も拡大、生活様式の変化から今後は郊外案件の引き合いも活発化しそうな状況だ。
そのため、優良な案件については、都区部のみならず郊外においても競争が激化しており、用地確保の環境は激戦となることが想定されている。そうしたなか、同社は強みである「造注方式」を生かして良質なマンションを供給し、収益アップを図る意向だ。
同社は、この「造注方式」を武器に創業後は急速に成長、2015年3月には東証マザーズに創業からわずか3年9ヶ月で上場し、2016年12月には東証1部に指定替えとなった。現在は、成長の踊り場となっている格好だが、今後は再開発事業など業容に厚みが加わることから、再び成長路線を歩むことが想定されている。
造注方式により収益力がアップ
2. 事業モデル
同社が急成長を遂げた背景に、「造注方式」と呼ぶ事業モデルがある。これは他社に先駆けて、マンション用地を仕入れ、企画・設計を行い事業主に提案、特命で工事を受注して施工し引き渡す方式だ。各事業主のニーズに合った事業開発を提案するなかで、精度の高い用地情報を幅広く収集して、用地情報の確保から企画提案までを最短10日間というスピードで実現している。
造注方式の具体的な流れは、まず不動産会社や金融機関、土地所有者など、多岐にわたる独自のネットワークを駆使してマンション用地情報の収集を行い、次に、立地特性を最大限に生かせるよう、周辺環境、マーケティング、権利関係、各種法規制等の調査を実施し、クオリティの高い、そうしたプランから事業主に対し、土地代、建築費、設計料等の諸経費をもとに事業収支を作成し、より緻密で正確な事業計画の提案を行う。そのうえで、事業主の要望を立案する。
そして、効率的なプランをベースに適正かつ有効的な建築費の見積りを行い、オリジナルの各種標準仕様を選定する。最大限に考慮した建築費の見積りを提示し、工事を特命で受注することになる。
造注方式は、同社が土地を押さえることによって主体的に企画提案を行うことができるため、競争入札で建設工事を受注する場合と比較して契約条件が良くなる。一般的に、建設会社はこうした特命工事の比重をいかに高められるかが、収益向上につながるポイントとなるが、同社は「造注方式」により高い特命比率を実現し、事業運営の効率化や安定した利益確保を可能としている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 水野文也)
《ST》
2021/8/11
1stコーポ Research Memo(1):22年5月期は増収増益予想。ZENAS工法が将来の受注獲得の強い武器に
*15:11JST 1stコーポ Research Memo(1):22年5月期は増収増益予想。ZENAS工法が将来の受注獲得の強い武器に
■要約
ファーストコーポレーション<1430>は、マンション建設に特化した建設会社である。創業は2011年6月と歴史が浅いが、2015年3月に東証マザーズに上場したのに続き、2016年12月には東証1部市場に指定替えと、創業からわずか5年半で1部上場企業になるスピード上場を果たし、文字どおりの急成長を遂げた。
社是は「より良質な住宅を供給し、豊かな住環境に貢献する」で、「安全・安心・堅実」をモットーに事業を展開している。主要事業エリアをマーケットの将来性が高い、東京圏(1都3県)としており、そこで分譲マンション建設に特化し、工事請負を主として事業を推進してきた。最近では、再開発事業に注力して実績を挙げつつある一方で、九州支店を開設し、福岡市博多区でオフィスビルの実績をあげるなど今後の展開が期待されている。
成長の背景にあるのは「造注方式」と呼ぶ事業モデルである。これは開発部隊がマンション用地を仕入れ、企画、設計を行い事業主に提案、特命で工事を受注して施工し引き渡す方式だ。これによって、主体的に企画提案を行うことができるため、競争入札で建設工事を受注する場合と比較して契約条件が良くなることから、事業運営の効率化や安定した利益確保を可能としている。
ゼネコンとして、土地開発の専任部隊を有し、これが強みとなっているほか、スピーディーな決裁プロセスによって、競合に対し優位に立つ。同社が主戦場としている東京圏においては、なお市場開拓余地が大きく、この「造注方式」を活用することによって、中長期的に成長が見込まれる。最近では、東京圏での都区部からニーズが強い郊外に力点を置き、受注拡大を目指す。
物件に関しては、再開発事業に一段と力を注ぐ考えである。これにより毎年コンスタントな収益確保が見込まれ、安定的な収益基盤の確立につながる。既に走り始めた案件もあり、今後の収益源として期待できそうだ。一方、アクティブシニア向けのマンションの建設にも注力している。また、画期的な新工法であるZENAS(ジーナス)工法を東京理科大学の協力を得て開発し、これが将来の受注獲得の強力な武器となりそうだ。
2021年5月期の決算は、売上高が前期比10.7%減の20,919百万円、営業利益が同24.1%増の1,666百万円、経常利益は同24.0%増の1,608百万円、当期純利益は同29.0%増の1,125百万円と減収増益となった。売上高は計画をほぼ達成したものの、完成工事利益率が計画を下回った。ただ、不動産売却の価格が想定を上回ったことにより、大幅増益を達成している。
2022年5月期の見通しは、売上高が前期比26.7%増の26,500百万円、営業利益が同3.2%増の1,720百万円、経常利益が同5.7%増の1,700百万円、当期純利益が同5.0%増の1,182百万円と増収増益を見込んでいる。
■Key Points
・2022年5月期決算は増収増益を予想
・再開発事業の開花で再成長に弾みも
・ZENAS工法が将来の受注獲得の強い武器に
(執筆:フィスコ客員アナリスト 水野文也)
《ST》
2021/7/15
【M&A速報:2021/07/15(2)】DCM、テーオーリテイリングと資本業務提携
*16:46JST 【M&A速報:2021/07/15(2)】DCM、テーオーリテイリングと資本業務提携
■DCMホールディングス<3050>子会社のDCM、テーオーHD<9812>傘下のテーオーリテイリングと資本業務提携
■フュートレック<2468>、傘下の広告代理店メディアジャパンエージェンシーの全株式を立体駐車装置事業のエムテツクサービスに譲渡
■三機サービス<6044>、買収防衛策を導入
■トップカルチャー<7640>、政投銀やカルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)などに対し優先株を発行 レンタル事業から撤退
■トップカルチャー<7640>、中期経営計画を発表
■ファーストコーポレーション<1430>、中期経営計画を発表
【ニュース提供・MARR Online(マールオンライン)】
《FA》
2021/7/12
ファーストコーポレーション---21年5月期は2ケタ増益、期末配当金の増配を発表
*17:36JST ファーストコーポレーション---21年5月期は2ケタ増益、期末配当金の増配を発表
ファーストコーポレーション<1430>は9日、2021年5月期決算を発表した。売上高が前期比10.7%減の209.19億円、営業利益が同24.1%増の16.66億円、経常利益が同24.0%増の16.08億円、当期期純利益が同29.0%増の11.25億円となった。
同社は、2021年5月期からの3ヶ年を年商500億円の実現に向けたステップアップ期と位置づけた中期経営計画「Innovation2020」を策定し、その達成に向けて取り組んでいる。そして業容拡大と利益水準向上への継続的な取り組み及び新たな価値創出により持続的な成長を目指している。
当年度においては、同社初の超高層・免震タワーマンションとなるJR前橋駅北口地区第一種市街地再開発事業の施設建築物の請負工事を群馬県の地元企業3社と共同事業体にて受注し、2020年11月より着工している。また、東京理科大学の認定ベンチャー企業であるサイエンス構造との共同研究により開発した新免震工法の「ジーナス(ZENAS)工法」について、早期の実物件採用を目指している。本工法はマンションなどの集合住宅において12メートル以上のワイドスパンを実現するものであり、敷地形状や方位等の立地条件に柔軟に対応し、柱や壁のない大空間やバルコニー側を大開口とした換気・採光に優れた間取りが可能となる。柱の本数減少により建築資材や作業員数を縮減でき、環境負荷を低減しコストマネジメントに優れた工法となっている。
2022年5月期通期の業績予想については、売上高が前期比26.7%増の265.00億円、営業利益が同3.2%増の17.20億円、経常利益が同5.7%増の17.00億円、当期純利益が同5.0%増の11.82億円を見込んでいる。
また、2021年5月期の期末配当について、直近の予想より6.00円増配し1株当たり28.00円の普通配当を実施することを発表した。これにより2021年5月期の年間配当は、普通配当28.00円に記念配当10.00円を合わせて1株当たり38.00円となる。
《ST》