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2019年の最強通貨【フィスコ・コラム】

2019/1/27 9:15 FISCO
*09:15JST 2019年の最強通貨【フィスコ・コラム】 国際通貨基金(IMF)による経済見通しの下方修正で世界の景気減速はより鮮明になってきました。特に欧州経済の下振れリスクが警戒されます。全般的に力強さが失われるなか日本は上方修正され、円が逃避資金をますます引きつけそうです。 IMFは1月21日、世界経済見通しの改定版を発表しました。それによると、2019年の成長率は+3.5%(10月時点+3.7%)に、翌20年は+3.6%(同+3.7%)に下方修正されました。前回は米中貿易戦争の経済への影響が懸念されていましたが、今回はそれに加え金融市場のセンチメントの悪化とトルコ経済の縮小に言及。世界経済見通しは2回連続の下方修正となります。 それに先立って発表された中国の2018年の国内総生産(GDP)は前年比+6.6%と17年の+6.8%から低下し、1990年以来28年ぶりの低水準となりました。IMFは中国の今年と来年の成長率を+6.2%と据え置きましたが、中国との貿易が盛んなオーストラリアやニュージーランドの経済にもネガティブな影響を与えるとみられ、まさに世界的な景気の腰折れにつながりそうです。 国際金融市場もIMFの悲観的な予測に反応しています。1月21-22日の取引でリスク許容度の低下による円買い圧力が強まり、ドル・円は109円後半から同前半まで下落。ユーロ・円や豪ドル・円などクロス円も同様に値を下げる展開となりました。その後、日銀が22-23日の金融政策決定会合で大規模緩和の継続を打ち出したことでいったん円売りに振れましたが、効果は長続きしていません。 IMFは、アメリカ経済に関し19年に+2.5%、20年に+1.8%と減速方向の予測を維持しています。実際、最近発表された製造業関連の経済指標のうち、フィラデルフィア連銀景況指数は予想を上回りましたが、その他のISM景況指数などが低調な内容となり減速感は否めません。トランプ政権の減税効果の後退や金利上昇の悪影響を考えると、連邦準備制度理事会(FRB)の利上げペース鈍化は避けられない状況です。 逆に、日本は今年10月の消費税率10%への引き上げに対応する景気対策の効果を見込み、2019年は+1.3%(10月時点+1.1%)、20年は+0.7%(同+0.5%)と上方修正されています。世界的に景気が減速していくなかで日本は改善が見込まれるのですから、先の取引のように逃避マネーが円に流入するのは当然です。ドル・円はドル買い要因が見当たらないため、目先は円買いに押される展開が予想されます。 一方、日銀は「経済・物価情勢の展望(展望リポート)」で、経済成長に関係の深い物価の見通しを引き下げました。世界的に著名な投資家も日本は増税で消費が落ち込むとし、その場合は株安・円高に振れると指摘しています。いずれにしても円高シナリオのようです。1月3日のドル急落で付けた103円台は市場参加者の間で「参考」とされていますが、その水準を案外あっさり突破してしまうのかもしれません。 (吉池 威) ※あくまでも筆者の個人的な見解であり、弊社の見解を代表するものではありません。 《SK》