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ブレグジットは自己責任で【フィスコ・コラム】

2018/11/25 9:00 FISCO
*09:00JST ブレグジットは自己責任で【フィスコ・コラム】 イギリスの欧州連合(EU)離脱をめぐる議論は、紆余曲折を経ても依然として展望がみえてきません。このままだと、来年3月29日の期限に間に合わず、合意なき離脱が現実になりそうです。それを避ける道はあるでしょうか。 イギリスのメイ首相は11月上旬、EUとの関係を維持しながら離脱する草案をまとめ、閣議了解されたものの、ラーブ離脱担当相など重要閣僚が内容に反発して相次いで辞任しています。草案は議会承認が必要となりますが、保守党の下院での議席数は650の半数を下回る316。加えて、保守党内は離脱派の反発が強く、連立相手の北アイルランド民主統一党(DUP)の協力を得ても議会通過は困難な情勢です。 その後のメイ首相に対する保守党の不信任決議は、必要な票数に到達せず回避されたものの、草案の議会通過が困難であることに変わりはありません。ブレグジットに関してはハード路線とソフト路線、どちらのサイドに寄っても逆サイドから反発を受けるため、誰が首相でも同じような展開にしかならないでしょう。メイ首相が「党首交代は時間のムダ」と話しているのは、その通りだと思われます。 今後のシナリオは、1)EU離脱を問う国民投票の再実施、2)EUからの強硬離脱、3)解散・総選挙、の主に3パターンが考えられます。イギリス国内では、1)の国民投票の再実施がよく話題になります。仮に、それで離脱派が勝てば残留派にとどめを刺し、ブレグジットは加速するのでしょうか。むしろ、声を封じ込められた残留派はますます反発を強め、国が真っ二つに割れ収拾がつかなくなるとみられます。 逆に残留派が勝っても、一件落着とは思えません。しばらくすれば息を吹き返し、離脱を目指して国民投票の再実施を求める可能性はあります。2016年の国民投票の結果を不服とした残留派の求めによって投票のやり直しの前例を作ってしまえば、今度は離脱派の要求でそのやり直しを実施しないのは不公平ということになります。離脱決定の撤回は、かえって混乱を招くと考えます。 筆者としては、2)の強硬離脱が最もイギリス的で自然ではないかとみています。イギリスとフランスを結ぶ海峡トンネルは今から200年以上も前に計画が持ち上がり、実際に何度も建設に着手していました。しかし、その都度イギリス側の都合で工事は中断。それが30回あまりも繰り返されました。大陸に根強い不信感を持つ国民性は今も、そして将来も変わらないように思われます。 もちろん、強硬離脱には大きな混乱が待ち受けていますが、これぞ自己責任です。それが嫌なら2年前の投票結果を踏まえ、保守党はハード路線、労働党はソフト路線でそれぞれ政策をまとめ、離脱後の国造りを問う総選挙しか道はないように思えます。両党とも党内は分裂していますが、政策に練り込まなければブレグジット問題の解決は見通せません。本当の「出口」はまだ先のようです。 ※あくまでも筆者の個人的な見解であり、弊社の見解を代表するものではありません。 《SK》