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米国株式市場見通し:ギリシャ債務問題が最終局面、イエレンFRB議長の発言に注目

2015/7/11 15:02 FISCO
*15:02JST 米国株式市場見通し:ギリシャ債務問題が最終局面、イエレンFRB議長の発言に注目 ギリシャのチプラス首相が5日に実施した緊縮策の受け入れを問う国民投票が反対多数となったことで、同国のユーロ圏離脱懸念が拡大した。欧州株が全面安となった流れを受けて、週初から売りが先行。ユーロ圏首脳会議開催前にギリシャが財政再建策の提出を持ち越すことが明らかになり、その後は様子見ムードとなった。週半ばになると中国株の急落が続いていることが嫌気されたほか、NY証券取引所でシステム障害が発生し、3時間以上に渡って取引が中断されたことから、下げ幅を拡大する展開となった。NY原油先物相場が続落したほか、FOMC議事録で多くの関係者が利上げを正当化できる状況に近づいているとの認識を示したことも嫌気された。週末にかけては、下落が続いていた中国株式相場が大幅反発となったことやギリシャがEU側に譲歩した財政改革案を提出したことで交渉妥結への期待が高まり、堅調推移となった。結局、週を通じてダウは上昇、ナスダックは下落した。 製薬のアラガンは、同業メルクが開発中の2つの片頭痛薬について、独占販売権を取得すると発表し上昇。ソフトウェアのマイクロソフトは、携帯電話機部門で最大7800人の削減する方針を示し堅調推移。動画ストリーミングのネットフリックスは、野村證券による目標株価引き上げを受け買われた。航空・防衛などの複合企業のユナイテッド・テクノロジーズが保有するヘリコプター部門の分離に伴う出資協議で同業のロッキード・マーティンやテキストロンが入札候補になるとの報道から3社とも上昇。一方で、医療保険のエトナは、ヒューマナに対する約370億ドルの買収を発表し軟調推移。化粧品メーカーのコティは、家庭用品のプロクター&ギャンブルの美容部門を125億ドルで買収することが報じられ下落した。 ギリシャと欧州連合(EU)の交渉が最終局面を迎える。EUは12日のEU首脳会議を同国との交渉の最終期限に設定しており、週初は協議結果を受けた展開となることが想定される。欧州中央銀行(ECB)は、改革案が不十分とみなされ、且つユーロ圏離脱となった場合に同国が非協力的であれば13日午前で緊急流動性支援(ELA)を打ち切るとの方針を明らかにしており、即座にギリシャが破綻に陥る可能性もある。しかしながら、先週ギリシャが提出した財政改革案は、一部で想定されたよりもEU側に譲歩する内容となっており、EU側もトゥスク大統領が債務再編の可能性に言及するなど支援再開での合意形成は十分に可能との見方が広がりつつある。交渉の行方とともに、13日にギリシャが資本規制を解除できるかどうかが焦点となるだろう。 今週から4-6月期決算が本格化する。金融ではJPモルガン・チェース(14日)、ウェルズ・ファーゴ(14日)、バンク・オブ・アメリカ(15日)、シティグループ(16日)、ゴールドマンサックス(16日)などの決算発表が予定されている。通貨監督庁(OCC)が先月末に公表したデータによると、シティグループ がJPモルガン・チェースを抜いてデリバティブ(金融派生商品)取引で米国内首位となったことが明らかとなり、同社決算内容に期待が集まる。 ハイテクではインテル(15日)、イーベイ(16日)、グーグル(16日)、AMD(16日)などの決算発表が予定されている。先日調査会社IDCが発表した4−6月期の世界PC出荷台数は、前年同期比11.8%減と大きく落ち込んだ。インテルやAMDはPC出荷台数低迷の影響がどの程度業績に現れるかが焦点となりそうだ。その他では製薬のジョンソン&ジョンソン(14日)やファストフードのヤム・ブランズ(14日)、動画ストリーミングのネットフリックス(15日)、航空会社のデルタ航空(15日)、複合企業のGE(17日)などの決算発表も予定されている。 経済指標関連では6月小売売上高(14日)、6月生産者物価指数(15日)、6月鉱工業生産・設備稼働率(15日)、7月NAHB住宅市場指数(16日)、6月住宅着工・建設許可件数(17日)、6月消費者物価指数(17日)などの発表が予定されている。15日には、FOMCでの基礎資料となるベージュブック(地区連銀経済報告)の発表が予定されているほか、15-16日にはイエレンFRB議長が米上下院両院で半期に一度の金融政策報告について議会証言を行う見通しだ。先週発表されたFOMC議事録では、多くの関係者が利上げを正当化できる状況に近づいているとの認識を示したことが明らかとなったものの、国際通貨基金(IMF)はFOMCに対して利上げを16年まで先送りするべきだと進言しており、足元のギリシャ情勢や中国株式相場の乱高下を受けたイエレン議長の発言に注目したい。 (Horiko Capital Management LLC) 《TN》