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優等生カナダの試練【フィスコ・コラム】
2018/9/9 7:30
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*07:30JST 優等生カナダの試練【フィスコ・コラム】 金融正常化競争で欧州やオセアニアが次々と脱落するなか、カナダはアメリカに次いで順調にプロセスを進めているとみられていました。しかし、北米自由貿易(NAFTA)再交渉をめぐるアメリカとの関係悪化は、先行きへの不安を急速に高めているようです。 足元で発表されたカナダの経済指標をみると、雇用者数や小売売上高はいずれも拡大基調が続き、設備稼働率は改善傾向を示しています。実質国内総生産(GDP)は+2.4%と高成長を維持しており、直近の消費者物価指数(CPI)は前年比+3.0%と、カナダ銀行(中銀)の目標上限に達しました。隣国アメリカの景気拡大の恩恵を受けているのか、カナダ経済も好調そのものです。 昨年の夏以降、世界の主要中銀は金融正常化に舵を切り始めました。先陣を切ったのはアメリカ連邦準備制度理事会(FRB)で、英中銀(BOE)などが追随。カナダ銀のポロズ総裁は、「利下げは役割を果たした」と事実上の緩和終結を宣言し、その流れに乗っています。FRBは年4回利上げ(残り2回)シナリオを堅持し、カナダも同様に引き締め方針を緩めていません。 逆に、イギリスは欧州連合(EU)離脱の不透明感から引き締めペースはダウンしています。また、欧州中銀(ECB)はドラギ総裁の「デフレ圧力はリフレに変わった」とのやや踏み込んだ発言は半信半疑で受け止められましたが、やはり回復の遅れでとん挫。利上げ時期は早くても来年の夏以降と大幅に後退しました。豪準備銀やNZ準備銀は正常化の「せ」の字も見当たりません。 ただ、「優等生」のカナダが、長年にわたり強い関係を構築してきたアメリカとの貿易問題に揺れています。アメリカからみて、2017年の貿易赤字はメキシコの762億ドルに対し、カナダは232億ドルと少ないものの、対カナダ輸出は2830億ドル、輸入は3061億ドルで貿易規模は5891億ドルと、メキシコの5632億ドルを上回ります。NAFTA再交渉で妥結できなければ、カナダ経済に打撃となるでしょう。 カナダ中銀は9月5日の定例会合で、予想通り政策金利の据え置きを決めました。2%の物価目標を上回り、政策金利の引き上げはなお「正当化される」との声明から10月には3カ月ぶりの利上げが予想されます。その一方で、中銀は貿易摩擦が世界経済のリスクと指摘。原油供給の不安定化と合わせ成長を押し下げるとの見解を示しており、先行きに対する認識をぼかしています。 カナダでは総選挙が来年秋に予定され、NAFTAに代わる新しい貿易の枠組みは、そのままトルドー政権の評価につながります。鉄鋼産業の中心地を含むオンタリオ州で今年6月に行われた議会選で自由党は敗北。アルミの生産拠点であるケベック州で10月1日に行われる議会選は、総選挙に向け1つの判断材料となるでしょう。支持率低迷に悩むトルドー政権も、トランプ政権に負けず自国最優先を掲げて臨む必要がありそうです。 (吉池 威) 《SK》
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