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ロシアシフトの世界【フィスコ・コラム】
2017/12/17 13:09
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*13:09JST ロシアシフトの世界【フィスコ・コラム】 中東外交で信頼が失墜したトランプ政権下のアメリカに代わり、今後の国際政治はロシアを軸に展開していくのでしょうか。来年のロシア大統領選に出馬表明したプーチン氏にはすでに再選が織り込まれ、ロシアの超大国化に向けて突き進んでいます。 トランプ大統領がエルサレムをイスラエルの首都に認定したことは、中東地域の微妙な安定を揺るがすとともに、アメリカや国際社会がこれまで構築してきた和平プロセスをぶち壊すものであり、国際情勢は不安定化する可能性が高まっています。12月11日にニューヨークのバスターミナルで発生した爆弾テロは未遂に終わったものの、今後の混乱を予感させる事件でした。 中東・アフリカ諸国が加盟するイスラム協力機構(OIC)は12月13日、トルコ・イスタンブールで臨時首脳会議を開催し、東エルサレムをパレスチナ国家の首都とする宣言を採択しています。サウジアラビアやヨルダン、エジプトなど親米の国々は今のところアメリカなどへの具体的な制裁は控えているようですが、各国の政権が国民の不信感に耐えきれなくなる可能性があります。 一方、信頼失墜のアメリカを尻目に、ロシアが中東における影響力拡大に向け攻勢を強めています。プーチン大統領はトルコやエジプトを訪問し、アメリカの対応を批判しました。特に、エジプトとは同国初となる原発の建設に向け技術供与を決めたほか、エジプトの空軍基地をロシア軍が利用できるよう軍事面での協力関係を深めるなど、中東地域におけるアメリカの影響力の排除に乗り出しています。 来年3月に行われるロシアの大統領選に向け、プーチン氏は12月に入って出馬を表明しました。ただ、他に有力な候補者は現れず早くも再選ムードが広がっています。昨年9月の議会選では同氏の支持政党「統一ロシア」が定数450議席の4分の3を上回る議席を獲得。また、現地メディアの直近の調査によると、プーチン氏の支持率は実に80%台にのぼっているもようで、政権運営は揺るぎないようです。 唯一の対抗馬とみられていた進歩党党首で弁護士のナワルニー氏は出馬が認められない方向で、他の候補者はむしろプーチン氏の「引き立て役」のような役割です。シリア内のロシア空軍基地を電撃訪問したプーチン氏は、駐留部隊の大部分を撤退させる意向を表明し、「イスラム国」掃討の成功をアピール。ドーピング問題による平昌五輪の不出場処分はかえって国内の結束力を強め、これもプラス材料になりました。 さらに原油価格についても産油国と協議し、政治力を駆使して原油安という懸念材料も取り除いたことで経済は回復しています。2014年以降の原油安を受け過去最安値に下落した通貨ルーブルは、原油価格の安定化とともに緩やかな上昇基調を維持。仮想通貨の世界でもロシアは独自色を強めています。2018年は「ロシアゲート」というよりもアメリカがロシアの軍門に降る年になるかもしれません。 (吉池 威) 《MT》
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